書名:夜の足音 短篇時代小説選 (角川文庫)
著者:松本清張
自分史を書くうえで、市販の書籍は参考になります。
市販の書籍は、プロの作家がプロの編集者と二人三脚で出版した本ですから、自分史作成の基本要素である、テーマ・題材・構成・文章表現、いずれも自分史を実際に書くときのお手本になるに違いありません。
自分の知識と経験を綴るカタチの自分史を書くときも参考文献は必要です。
ここではわたしが読んだ本を感想文のカタチで紹介します。自分史を書く際の参考情報になれば幸いです。
知らなかったけど、松本清張ははじめ時代小説を書いていたらしい。
松本清張の特長は、会話を現代調で書くところ。
誰も江戸時代や戦国時代の話し言葉を知らないし、昔風・武士風のしゃべりも実際とは違っているだろうし、もし復元して書かれたら、きっと読んでも分からないだろう。
だったら、おもいきって現代風に書いてみよう。時代小説の雰囲気がそれで壊れるようなら、プロットがしっかりしていないということなのだ。
と思って書いたのかどうかは分からないが、これが松本清張の世界で、しかもそれでぴったり来るのだ。
さて、本編の感想だが、これがミステリーというか、結末は自分で考えるというか、余韻があるというか。
じっくり読めば、じっくり読んで、読み終わったら少し考える余裕があると、すごく楽しめる小説だ。
結末が書いていないというわけではないけれど、結末からさらに、思い巡らす展開を残して終わらせている。